ブルバキとランダウ

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数学原論(その6)

 現在2019年2月23日20時04分である。

「太郎さん。ブルバキの方法は、もう古いって、言ってなかった?」

 そう。古い。

 というか、今の大人達、全員が、古い、と言われることになる。

「私も?」

 そう。

若菜「私は?」

 高校あたりから、まったく今までと違う、カリキュラムになるかも知れない。

結弦「僕は?」

 結弦は、大丈夫だよ。

「どう変わるの?」

 まず、ノートにメモを取る、という習慣をつける訓練に代わり、タッチパッドに、樹脂か何かのペンで、メモを取る、ということの訓練から、始まるだろう。

結弦「紙に、書かないの?」

 いわゆる、絵画を描くときは、紙に描くのが、残るだろうが、それ以外は、紙に書くということから離れるよう、訓練されるだろうと思う。

 本も、すべて、電子書籍

若菜「どうして、そこまで、徹底的に?」

 物理学の、基本単位が、7つのうち4つも変わってしまう。

「でも、それは、私達は、もう、どうすれば良いか、教わったのよ」

 一般の人たちは、

『お上がこう言うから、従っておこう』

で、済むかも知れない。

 でも、自然科学の研究者は、7つのうち、残りの3つが、本当にこれでいいか、と、常に警戒しておかないといけない。

 例えば、現在の『秒』の定義、『セシウム133』を用いる定義より、回転する中性子星と思われる天体の発するパルスの方が、正確だとする説もある。『パルサー』と呼ばれる天体だ。

 今後また変えるとしたら、電子書籍で、一気に全部変えた方が、効率的だ。

「そんなこというけど、自分の持ってる本の中身が、知らない間に、書き換えられてたら、何を信じて良いか、分からないわ」

 そうだね。

 改訂した箇所には、

『改訂しました』

と、はっきり書かなければね。


若菜「古い人ばかりで、話してて、私どうなるのか、分からないわ」

 悪い、悪い。

 古い二人にとっては、深刻な問題なんだよ。

結弦「まあ、iPadみたいなのには、慣れてるから、ペンで、スクリーンに字を書くのは、違和感ないけどね」

 そう、それだよ。

若菜「それは、私も、そうだけど」

 ああ、お前達は、2042年の世界から、来たんだものなあ。

結弦「あまり、未来の話は、しないことに、なってるけど、競争至上主義みたいなのは、とっくに、なくなってたよ。僕らの時代」

「どうやって、政治とか、国会とか、裁判所とか、機能させるの?」

結弦「古代ギリシャみたいに、全員で、多数決」

若菜「全員なんて、100億が? と思われるでしょうが、全員スマホ持ってるんです」

 そうなるのか。

結弦「まあ、未来の世界で、裁判なんて、ないんだけどね。ハッハッハ」

「戦争から解放されるのなら、ドラえもんのブログの目標は、達成されるのね」

若菜「ただ、お母さんとお父さんが、頑張らないと、この未来を勝ち取れませんけど」


 そこで、『数学原論』を、復活させる意味が、生じてくる。

 まだ、『数学原論』は、フランスでも、Kindleに、なってない。

「えっ、調べたの?」

 アマゾンで、フランスのページを表示させ、bourbaki と、検索した。

「太郎さんなら、やりかねないか」

結弦「お父さんは、どうしたいの?」

 圏論を使うのが、良いと言っても、本来のブルバキの良さが分かってなければ、書き換えられない。

 それに、現在の『数学原論』では、

第1章 論理学、

第2章 集合論

第3章 無限集合論

第4章 構造

となっていて、この第4章の『構造』という概念を、『圏論』で、置き換えたい。

 もうちょっと、ややこしい話もあるが、やっぱり、集合論抜きに、圏論の説明はしにくい。

若菜「それで、お父さんとしては、テフで数式を打っておいてあげれば、役に立つのではないかと?」

結弦「それより、苦労して読んだ、ノートの書き込みも、役立つだろうとね」

 まあ、そういうこと。

「今日は、もう21時28分だから、切り上げた方が、良いわ」

 分かった。

 じゃあ、解散。



「太郎さんが、書いたものが、本当に役に立つと思っているの?」

 子供を育てるとき、

『こんなことして、意味あるのかな?』

と思いながら、育てる親の子供は、伸び伸びとは、成長しないよ。

 それを、バネにして、大きく羽ばたく子供も、いるのは、確かだけどね。

「太郎さんって、本当に、幸せな人ね」

「久し振りに、キスでもしてみる?」

 私も、そんな気分。


 チュッ


 おやすみ。

「おやすみ」

 現在2019年2月23日21時41分である。おしまい。