ブルバキとランダウ

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数学原論(その24)

 現在2023年7月20日20時06分である。

麻友「ブルバキ、ほとんど、1年ぶりくらいね」

私「詩のような、『星の王子さま』は訳せなくとも、数学のブルバキは、訳したい。本来、『数学原論』は、教科書としては、変わっている。でも、数学の山脈に登るのなら、一通り学んでみたい」


若菜「『最近、毛嫌いしていた、ブルバキの {\square,\ \tau,\ \vee,\ \neg} という記号のうちの、{\square,\ \tau} の2つの記号の使い方が、分かったんだ』と、


mayuandtaro.hatenablog.com

の投稿で、喜んでいらっしゃいましたけど、どれくらい深刻な問題だったんですか?」

私「深刻なんてものじゃ、ないよ。2005年に、最初に訳本を読み始めたときから、これの使い方が、分からなかったんだ。具体的に、例を使って、見せるよ」

結弦「見せられるの?」

私「やっとそこまでになった。2023年7月8日のことだ。まず、この、{\square,\ \tau} は、ある条件を満たす数がある。ということを、言うために、使われる。例えば、

┌┐
{\tau ( \square \times 3 =6)}

と、書くと、四角に入る数のどれかを、表していることになる」

結弦「どれかって、どれなの? この場合、{2} しか、有り得ないように、見えるけど」

私「この場合は、当てはまるものが、1つだけだから、{2} に決まる。でも、いくつかあった場合、例えば、

┌──┐
│┌┐│
{\tau ( \square \times \square =9)}

だったら?」

若菜「ああ、{+3} と、{-3} と、2つありますね」

私「そうだろ。その場合、ブルバキは、それの表すのは、そのどれか1つと、曖昧なんだ。そして、もっと困ったのが、四角に入るものが、ひとつもない場合。この場合、上の {\tau} で始まる式は、まったく不明なひとつの対象を表している。というんだ。これが、飲み込めなかったので、{\forall} や、{\exists} の現れない、{\S 3} までしか、これまで、進めなかったんだ」

若菜「そうだった。お父さんのノート、{\S 4} を、5ページ進んだところで、2014年4月6日に、止まってる。{\tau} の定義が、気持ち悪くて、分からなかったんだ」

結弦「でも、四角と、{\tau} を、つないで、何をしたかったの?」

私「こういうことだったんだ。

{(\tau_x(x \times 3=6)|x)(x \times 3=6)}

が、

{\exists x ( x \times 3=6)}

の定義だとするんだ。

 つまり、{ x \times 3=6} が、成り立つ {x} が、存在しなければ、そもそもどんなものをもってきても、{(\tau_x(\cdots)|x)(x \times 3=6)} は、成り立たないんだ。{(y|x)(3-x)} は、{3-y} と、{x} を、{y} に置き換えるという意味ね。そして、{x \times 3=6} を満たす、{x} が、存在するなら、この場合、{2} だけど、それを、{\tau_x(x \times 3=6)} と、表せるのだから、{(\tau_x(x \times 3=6)|x)(x \times 3=6)} が成り立つ {x}、 つまり {2} があるので、{\exists x ( x \times 3=6)} と、書いて良いよね。ということだったんだ。四角を使うのは疲れるので、{x} などの文字を使う」

麻友「太郎さんは、2005年から2023年まで、18年も、取り組んできた謎だったのね。でも、訳本が37巻もある『数学原論』で、そんなノロノロやってて、読み切れるのかしらね?」

私「ブルバキで、カバーできない分野もある。例えば、前から話題に上っている複素解析関数論や、多様体論が、ブルバキにない。ブルバキで、全部分かるわけではないことも、他の本で、補っていく」

若菜「今日は、フランス語は?」

私「もう23時02分だ。また今度にしよう。解散」

 現在2023年7月20日23時09分である。おしまい。