現在2022年3月31日17時41分である。(この投稿は、ほぼ4745文字)
麻友「今日は、早い」
私「トントン工房へ、行ってきたんだ」
若菜「珍しいですね」
私「お弁当の、試食会があって、今後採用するかも知れない、お弁当を、食べてきたんだ」
結弦「美味しかった?」
私「鶏の唐揚げが、入っていたんだ」
麻友「太郎さんは、実際には、私が揚げた唐揚げを、食べたことは、無いわよね」
私「サラダは、ドレッシングが良くて、美味しかった」
若菜「他に、褒め方、無いんですか?」
私「難しいこと、言うなよ」
麻友「職場だから、早く帰ってきたのね」
私「そう」
麻友「ところで、相談なんだけどさあ、このブルバキ、写すの、楽しい?」
私「麻友さんが、読んでくれている、というのが、喜びだけど」
麻友「ただね、何をやりたいかも分からないし、結構、退屈してるのよ。太郎さんは、1巻は、かなり読み進めてあるのよね」
私「2005年から、2014年までかけて、訳本の36ページまで、読んである」
麻友「だったら、大雑把には、ブルバキがやりたいことは、分かっているのよね」
私「後で出てくる、論理的な理論というものは、途中まで、麻友さん達と進めた、『現代論理学』の内容と、被っていて、理解できた」
麻友「つまり、太郎さんも、ブルバキだけで、理解しているわけでは、ないのよね」
私「それは、そう」
麻友「だったら、教科書をなぞるんじゃなくて、重要なところを、太郎さんの言葉で、書いてよ。今のままだと、私、退屈で、投げ出しちゃいそう」
若菜「あの、 は、面白かったですけど、その後、見てみましたけど、結構つまらなそうでしたよね」
私「家庭教師って、小学生と、大学生にしか、したことなくて、ポイントを教えるのって、慣れてないんだよね。麻友さん達、相手に、ポイントを纏める練習してみようかな?」
結弦「どっちが、先生か、分からなくなったけど、レポーターは、お父さんね」
私「テキスト通りにやらない、というのは、新しい試みだけど、挑戦してみよう」
私「ブルバキは、やたらと、文字を、 で、置き換える手順を、説明してくる。ひとことで言うと、
というのは、意味としては、
のことなのだが、これは、元に戻って、
の、 を、 で、置き換え、 と、鎖でつなぐ。つまり、
┌──┐
と、書かれているのが、正式なのだ。というんだ」
若菜「
┌─┐
でなく?」
私「今までに、集合の要素を書くときに、使ってきた、 の書き方だと、若菜の方が、正しいんだけど、ブルバキは、記号の並べ方が、違うんだ。ただ、ブルバキも、段々、普通の並べ方に、戻していくから、大丈夫」
麻友「そういう風に、本音で書いてくれると、分かり易い」
私「定義がある。
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数学的理論(あるいは単に理論ともいう)とは、ある種の記号列がその理論に属す項であるとか論理式であるとかいうことを認める規則、ならびに、ある種の記号列がその理論の定理であるということを認める別の規則とから成立っている。
*******************************
と、書いてあるけど、項というのは、 とか、 とか、 みたいな、あるひとつの数と思っていい。論理式というのは、 とか、 とか、 みたいな、項について、正しいか、正しくないかが、定まる記号の列だと、思って良い」
麻友「あー、ちょっと、分かってきた。それで、定理というのは?」
私「定理という言葉の定義は、この後8ページくらいに渡って、証明というものの定義をして、それによって、証明されたものを、定理と言うんだ。そんなに、簡単には、行かない」
若菜「でも、お父さん。これで、納得したんですか? 証明されたものだけが、定理なんて」
私「大学時代、私は、ブルバキの、この立場を認められず、ブルバキは、読み進めなかった。だけど、さっきから挙げている、『現代論理学』によって、論理的に正しい命題は、ちゃんと証明できる、という1階述語論理のゲーデルの完全性定理というものを知って、ブルバキの立場は、認めて良かったのだなと、納得した。だから、ブルバキ2005年に、読み始めている」
若菜「大学中退が、1994年。2005年に、ブルバキを読み始めるまでに、10年以上経ってるんだ」
結弦「お父さんの立場とか、ブルバキの立場と言うように、色んな立場が、あるんだ」
私「そう。数学は、余り硬直した考え方だと、楽しめない。色々、経験してみると良いよ」
麻友「お父さんの前で言っていた、逆数学も、文献集めたの?」
私「集めたわけでは、ないけど、
などは、主に、逆数学の本だ」
若菜「数学の主流は、そっちへ行ってるのに、ブルバキを読むことの、意義は、あるんでしょうかね?」
私「森毅(もり つよし)の本に、『現代の古典解析』なんてものが、あるように、古典を紐解くのは、楽しいんだよ」
麻友「楽しめるところまで、いきたいわね」
私「読むのに、慣れて欲しいんだけど、
例. 記号列
において、 が現われるたびにそれを でおきかえれば、記号列
が得られる。
となっているけど、本当は、
と、
ということだからね」
若菜「ああ、つまり、 は、 の元か、自分自身に、等しいと、言ってるわけですね」
私「そう」
私「ここで、忘れて欲しくない定義をするよ。二通り定義するんだけど、どっちも、必要になる。
1つ目の定義
みたいな、記号列があるとき、 を、 に置き換えたい場合、
と書く。そうすると、
は、
となる。
2つ目の定義
みたいな、記号列があるとき、これを、仮に、 とあらわし、
とする。ここで、 の中の を、
と、特徴付ける。そして、 を、 に置き換えたい場合、
と書く。これは、この場合、
となる」
麻友「カッコの()と、() が、混在しているのは、バグがあるのね」
私「そうなんだ。なぜか、脚注が、付いちゃうんだ。半角カッコを2重にすると、駄目みたい」
若菜「どうして、二通り、定義するんですか?」
私「変数が、1個だと、あまり違いがないように、思えるだろうが、例えば、
という場合、
となる。 と、 を、入れ換えたい場合、2つ目の方法だと、
と、入れ替わる。ところが、1つ目の方法だと、
とすれば良さそうだが、
が、 になる。 が、になる。
となって、上手く行かないんだ。逆に、2つ目の方法が、上手く行かない場合もある。
麻友「そうよ。こういう説明をしてよ。教科書を、そのまま、読まれても、分からないのよ」
私「こういう風なのの方が良いのは、分かってるよ。でも、これは、十分精通した分野でしか、できないんだよ。ブルバキは、2005年から、17年もアタックを続けているから、これができるんだ」
若菜「でも、お父さんは、数学の本をよむとき、こういう風に、具体例を作って、理解していったりは、しないの?」
私「ある程度、理解している分野なら、そういうこともする。だけど、全く初めての分野では、そういうことをやっていって、失敗したことが、何度もあるんだ」
結弦「習うより慣れろという。いっぱい式を書いて、説明してよ」
私「やっとひとつ、壁を越えたな」
麻友「お互い様です」
若菜「今日のところを、スキャン原稿置いて、終わりにしましょう」
私「分かった」
私「本文は、10ページの下から、12ページの上までやった。ノートでは、42ページの下から、46ページの半ばまで進んだ」
麻友「太郎さん。私に嫌われたくないから、必然的に、説明法が、変わったんでしょう」
私「その通りだ。首の皮一枚、繋がった?」
麻友「今後によるわ」
若菜・結弦「じゃあ、おやすみなさーい」
麻友「おやすみ」
私「おやすみ」