ブルバキとランダウ

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数学原論(その16)

 現在2021年1月16日20時03分である。(この投稿は、ほぼ2587文字)

麻友「やっぱり。太郎さんは、絶対ブルバキを読みたいんだと、思っていた」

私「数学の本で、難しい本であることで有名な本というのが、いくつかあるんだ」

麻友「例えば?」

私「筆頭は、永田さんの『可換体論』」

永田雅宜『可換体論(新版)』(裳華房

可換体論〔新版〕 (数学選書 (6))

可換体論〔新版〕 (数学選書 (6))

若菜「どうして、これが難しいと、分かるんですか?」

私「私がいたとき、この永田さんが大学にいて、誰かがこの本の難しくて分からないところを聞いたら、本人も考え込んじゃって、その場では分からなかった、というほどなんだ」

結弦「そんな本、絶版になってないの?」

私「ところがね、難しいと聞くと、読んでみたくなる人もいるんだよ。だから、需要があって、もう50年以上、なくなっていない」

麻友「太郎さんは、読んだの?」

私「私ってね、面白い趣味を持っていて、『これは、難しい本だ』とか、『これは、易しい本だ』とか聞くと、まずその本を読む準備として、他の本何冊かを読んで、それから、易しい本なら、自分がその本の易しく書いてあるところよりもっと丁寧な説明ができるかどうか、チェックしながら読む。逆に、難しい本なら、その本の内容を、全部吸収できたな、と思ってから、道場破りのように、その難しい本を、読むんだ」

若菜「結局、その本では、勉強しないんですね。じゃあ、お父さん、今はもう、『可換体論』持ってるわけですね。どうやって、回り道するんですか?」

私「難しい永田さんの『可換体論』、『可換環論』、どっちも持ってる。回り道としては、体の方は、『体とガロア理論』、環の方は、『環と加群』という本を、持っている」

永田雅宜『可換環論』(紀伊國屋書店


藤﨑源二郎『体とガロア理論』(岩波書店

体とガロア理論 (岩波基礎数学選書)

体とガロア理論 (岩波基礎数学選書)


山﨑圭次郎『環と加群』(岩波書店

岩波基礎数学選書 環と加群 (岩波オンデマンドブックス)

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  • 作者:山﨑圭次郎
  • 発売日: 2020/01/10
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)


結弦「お父さんは、結局、道場破りを、したいんだな。そう言えば、大分前に、数学の世界で、どんな残酷なことしようと何だろうと、誰も傷つかない、みたいなこと、言ってた」

私「ドラえもんのブログの、『1から始める数学(その12)』で、『数学の世界で、どんなに、正義の味方になって、弱い敵のモンスター、バッサバッサ叩きのめしても、正しさを最後まで貫き通しても、誰も傷つかない』と、書いたのだな。数学では、平和に戦闘を続けられる。ペレリマンが、ポアンカレ病を、解決しなければ、数学者がもっと食いっぱぐれなかった。だから、ペレリマンは、フィールズ賞を、辞退したのではないか? そういう憶測もある。でも、私の見方は、ちょっと違う。ペレリマンは、証明を、ブログで公開していたけど、その証明が本当に完璧かどうか、まだ自信が無かったのだと思う。きっと、ペレリマンは、どこかで、自分の証明の、不備に思える部分と、戦っているのだと思う。今も」

麻友「太郎さんは、道場破りのために、数学やってたんだ」

私「えっ」

麻友「そうなんでしょ?」

私「違うよ。全然」

若菜「じゃあ、何のために、数学やっているんですか?」

私「それは、好きだから、というのと、役に立てるためだよ」

結弦「お父さんがこれ以上、数学勉強しても、役に立たないんだよ。それを、分かってよ」

私「うーん。今日、マックで以前から知り合いの人に会ったとき、その人の知り合いの人から、私にこの本を渡して欲しいと、受け取ってきましたと、この本を、渡された」

結弦「これが?」

私「ペレリマンのポアンカレ予想より前に、フェルマーの最終定理というのがあった話は、したけど、要するに、懸賞金と名誉、目当てで、数学の難問と、取り組む人が、いるんだよ。『あなたが、やっているのは、そういうことですよ』と、言いたかったのかも知れない」

若菜「それが、分かって、お父さんは、どうするんですか?」

私「どうも、しないよ。私は、好きだから数学やっているんだし、麻友さんに、説明するのも、楽しんでいるだけのところも、あるからな」


麻友「そこまで、言うなら、付き合ってあげるわよ。太郎さんは、ブルバキこそが、最も易しい回り道だということに、気付いたのね。冒頭だけでも見ていてあげるわ」

私「フランス語版の、数学のところを、やりたいんだ。そんなに、難しくない」


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 CHAPITRE Ⅰ
 第Ⅰ章

Description

de la mathématique formelle

形式的な数学の記述


§1.TERMES ET RELATIONS

訳本では、「対象式と関係式」、となっているが、最近の数学の用語の傾向で、「項と論理式」と訳す。

§1.項と論理式


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英語で、中学1年生のとき、教科書を全部訳したことを、覚えているだろう。対訳と見比べるのは、役に立つ。

一応、今日のところを、訳本と私のノートを、スキャンした。参考にして欲しい。

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麻友「こんなの、何年かかるの?」

私「何年かかったって、いいじゃない。人類が、4000年以上かけて、築いてきたものなんだよ。きっと、進むにつれて、私がなぜそんなにも好きになるか、分かると思う」

若菜「お父さん、マックで、『細胞の分子生物学』読んでましたね」

私「数学より、新型コロナウイルスに、役に立つからね」

結弦「成果を教えてよ」

私「それも、考慮に入れておく」

麻友「じゃあ、今日はここまでね」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2021年1月16日22時21分である。おしまい。