ブルバキとランダウ

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圏論を使うことの意味?

 現在2019年2月15日19時04分である。

「あらっ、こちらのブログは、久し振り」

 ちょっと、深刻な間違いを犯していたようなので、ここに、書くことにした。

「どういうこと?」

 このブログの初めの方か何かで、


ブルバキのメンバーは、最初に圏論から始めれば良かったと、かなり後悔したようである。

 私は、圏論から始めて、ブルバキを再構築しようかとも、迷った。

 しかし、圏論というものを、実際勉強してみると、やっぱり集合論を、ある程度勉強してからでないと、伝えたいことが、読者に分からないな、という結論に達した。

 そこで、『数学原論』の、集合論も飛ばさず、読んで行くことにする。』


というようなことを、書いた。

 でも、あれは、撤回しなければならないかも、知れない。

 ちょっと15行ほど、難しい専門用語が続くけど、ごめん。


 今日、図書館へ行って、予約しておいた

清水義夫『圏論による論理学』(東京大学出版会



清水義夫『記号論理学講義』(東京大学出版会


を、見ながら考えていて、


『麻友56』のノート


 3315ページ

 そもそも、圏論の矢印だけで(圏論というのは、矢印の使い方を決める理論。ドラえもんのブログで、『躍るアトム』という記事で登場している)、無限集合の濃度なんて、扱えるのか? 序数や基数なんて、どう表すんだ。可算選択公理だけで済ませられるということか?


 ここまでが、図書館のアイディア


 だとすると、数学を全部可算集合だけで論じるということか? だから、コーエン革命なのか?



 3316ページ

 『1から始める数学』のまま、可算級善良超フィルター(真理のカメさん)を用いて実数を作ったら、本当に全部(作るところを)見せたら、麻友さんでも、分かるか?

               2019.2.15 18:11:23




 今、ノートは、ここまで。


「真理のカメさんって? そこだけなら、分かりそうなんだけど」

 これは、かなり前から言っている、無限小の数とか、無限大の数とかを、この無限小の数aと無限小の数bが、同じとして良いかな?(厳密には、超冪(ちょうべき)の元として同値として良いかな?)というとき、使うものなんだ。

 どう使うかというとね、まず、新しい問題が来たとき、その問題を解くのに一番使い易そうな、真理のカメさんを、一匹連れて、冒険に出るんだ。

「何匹も、いるの?」

 たとえば、

{1,3,5,7,9,11,・・・}

なんてのも、真理のカメさんの出してくれる答えだし、

{2,4,6,8,10,12,・・・}

なんてのも、別な真理のカメさんが出してくれる答えなんだ。

 ただ、2匹同時には、冒険に連れて行けない。

「えっ、生きてるの?」

 集合だから、生きてはいないけど。

「生きてないの?」

 そりゃまあ、冷たいカメさんだと、女の人は、思うかなあ。

「ああ、数学の話だったこと、思い出したわ」


 ちょっと、次の1行だけ、難しい。数学の分かっている人向けの文だから。

 {\mathbb{N}} は、自然数全体の集合 {\mathscr{F}} (エフ)は{\mathbb{N}}上の可算級善良超フィルター、自然数の部分集合の列 {I_n=\{n\}} として、超冪を作るときの {\mathscr{F}} のことを、私は、『真理のカメさん』と、呼んでいる。


「確かに、分からない。それで、どうやって、その真理のカメさんを、使うの?」

 今日は、準備もしてないけど、使い方より、作り方を、見せたい。

「作り方?」

 ドラえもんのブログの『1から始める数学(1~15)』で、0(ゼロ)を作ったでしょう。

「そんなこともあったっけ」

 それと同じように、今度は、無限小の数とかを、作ることを、考える。

 あのときは、座標を使ったんだよね。

 こんな風に。


「あっ、なんか、少し思い出した。」

「確か、この(2,1)のある斜めの線が、1なのよね」

「だから、(1,1)からの斜めの線を、0としようと、私達が、作ったのよね」

 正直に話しちゃうけど、真理のカメさんは、こういう風に、目に見える形では、作れないんだ。ただ、このブログで何度も話が出ている、選択公理(この場合、可算選択公理)を用いて証明できる、ツェルメロの整列可能定理(これに、可算バージョンがあるかどうかは、未確認)を用いて、ツォルンの補題というものを証明する。

 そして、このツォルンの補題を用いると、真理のカメさんが、絶対いると、証明できるんだ。

「証明できるって、そもそも、『いる』って?」

 役に立つ集合が、存在する、ということだけ、証明できるんだ。

「本当に、いるの?」

 そこが、難しいんだけど、悪の根源みたいな、『ある程度大きな、数学の理論は、自分の無矛盾性を、自分では、証明できないという定理(ゲーデルの第二不完全性定理)』を、圏論という方法を用いて、回避して、『うんと易しい数学だけは、取り敢えず、矛盾しないよ』、と、分かるようにできるのではないか? ということに、私は、今頃気付いたんだ。

「論文書かなきゃ」

 もう、数学者は、みんな知ってるよ。

「じゃあ、太郎さんのオリジナリティは?」

 『真理のカメさん』という名前をつけたことだけ。

「なーんだ。それだけ」

 数学の真に新しい発見なんて、そんなに、できるわけないよ。

「お疲れ様」

 参考文献を、書いて、おしまいにするよ。



  参考文献

大学への数学 2001年3月号 (東京出版) p.62 『超実数の作り方』(河東泰之)

齋藤正彦『超積と超準解析』(東京図書)



「太郎さん。眠らなきゃ、だめよ」

 ありがとう。おやすみ。

「おやすみ」

 現在2019年2月15日21時39分である。